博士論文

博士論文 学位論文

楠見友輔(2020) 授業における知的障害児の学習と参加のメカニズム:媒介された主体性に着目して, 東京大学大学院教育学研究科博士論文

概要

本論文の目的は、限界を前提として知的障害児の学習と参加を評価する伝統的な知的障害教育研究の問題点を克服し、授業研究を通して、知的障害児の学習と参加のあり方を授業を構成する様々な要素との関係から捉え直すことである。本論文では、社会文化的アプローチの立場を採用した。社会文化的アプローチでは、子どもが文化的活動に参加していく過程を分析することから、子 どもの独自の学習の在り方が明らかにされる。1つの知的障害特別支援学校において 2 年間で110日の授業を記録し、国語、数学、話し合いによる係決め、生活、自立活動の授業を教室談話に注目して分析した。本論文のオリジナリティとして、批判的実在論におけるメカニズムという概念を取り入れたことがある。メカニズムという観点から知的障害児の学習を促したり制限したりしている複数の要素を考慮することによって、試験の得点や行動の頻度によって測定されている現象が、知的障害児の学習過程におけるどのような側面を捉え、どのような側面を捉え損なっているかを検討した。

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